ヒューズを並列に使用することで,定格電流が大きなヒューズとして使用することができます.
しかし,遮断容量(ヒューズに流すことができる最大の電流)の値は増やすことができません.なぜならば,たとえ1 つ当たりに流れる電流値を抑制したとしても,それはあくまで並列につながったすべてのヒューズが切れていない状態のときに限っての話だからです.
異常電流が流れたときに,すべてのヒューズが寸分の狂いもなくまったく同時に切れることは現実には起こりえません.ほぼ同時に切れているように見えても,細かく見ると,必ず早く切れるヒューズと遅く切れるヒューズがあります.
そして,最後に切れるヒューズは,切れる直前にはすべての異常電流を一手に引き受けることになります.このときの異常電流値がそのヒューズの遮断容量の規格を越えていた場合,ヒューズが安全に切れる保証はありません.パッケージの損傷や,最悪の場合は基板パターンへのダメージに至る可能性もあります.
ゆえに,ヒューズの並列使用では遮断容量を増やすことはできません.
並列使用時の注意点…その2:遮断特性
