同じ溶断特性でも異なる定格

同じ定格でも,規定の範囲内で各メーカが独自の溶断特性をもたせることができるというのは逆も然りで,まったく同じ溶断特性であっても,規定が違えば違う定格を名乗ることもできるということです.
図A は定格電流50 A と60 A のヒューズの溶断特性ですが,2 つはまったく同じ曲線を描いています.
実はこの2 つの製品は,まったく同じ材料と構造なので,溶断特性が同じなのは当然のことなのです.
この2 つの製品が異なる定格に分かれている理由は,電流と溶断時間の関係の規格が異なるからです.
定格電流50 A のほうは「定格電流の250 % を通電したときに60 秒以下で溶断する」という規格ですが,定格電流60 A のほうは「定格電流の200 %を通電したときに60 秒以下で溶断する」という規格になっています.
それでは,なぜまったく同じ製品を規格上の数値だけで異なる定格に分ける必要があるのでしょうか.
それは,ヒューズの性能上は使用してもまったく問題がない回路においても,ユーザの定格選定のルールによっては定格電流の数値に制約があって使用不可になってしまうことがあるからです.また,安全規格などで決められた定格電流の100 % の電流を通電したときの発熱を評価した場合に,使用不可になってしまうようなことを避けるためです.
例えば,以下のような事例が考えられます.

    1. 定常電流が35 A のとき,ヒューズ・メーカのディレーティングは90 % となっているので定格値50 A のヒューズが使えるが,最低でも60 % ディレーティングをしなければいけないというユーザ側のルールがあるので,定格値60 Aのヒューズでなければいけない
    2. 両者はまったく同じヒューズなので,当然60 A品として100 %通電したときよりも,50 A品として100 % 通電したときのほうが発熱は低く抑えられる

    〈高藤 裕介〉

    図A 2 つはまったく同じ曲線を描いている(定格50 A:松尾電機株式会社,JHC 型,250 %,60 sec 溶断,定格60 A:松尾電機株式会社,JHB 型,200 %,60 sec 溶断)

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